AKA施術の詳細

医師:田中 忠蔵

「関節運動学的アプローチは、関節運動学に基づき、関節の遊び、関節面の滑り、回転、回旋などの関節包内運動の異常を治療する方法である。」とされています。
AKAとは、「エーケーエー」と読み、Arthrokinematic Approach(アルスロキネマティックアプローチ:関節運動学的アプローチ)の略で、当初は動きにくい関節を動かそうとする目的(関節機能障害の治療)で博田節夫(はかたせつお)先生により開発された治療法です。先生は1979年から研究開発に着手、その過程において関節の動きを治療することにより体の痛みが軽くなることを発見したのです。
この治療法は実際の臨床に応用され、試行錯誤をくり返しながら徐々に診断、治療技術として体系付けられてゆきました。約20年を要した診断及び治療技術の進歩には目を見張るものがあり、現在もさらなる改良が加えられています。しかし、AKAを用いた治療技術は修得が難しく、簡単に身に付くものではありません。また正しい診断と正確な技術に基づく治療を行わないと、症状を悪化させることもあります。
従いまして、受診を希望される方は日本AKA医学会認定の専門医、指導医に相談されることをお勧めします。 以上、AKA医学会のホープページからの抜粋です。

ここではもう少し具体的なAKA治療についてお知らせします。
以下につきましては、当クリニックの基本的な考え方とご承知おき下さい。
AKAの治療対象は、器質的な病変(例えば、腰椎椎間板ヘルニアで神経がヘルニアで圧迫されている状態など、直接神経に圧迫や血流障害が生じている場合)を除いた様々な病名で呼ばれている疾患です。例えば、一般的に坐骨神経痛と呼ばれるものは、坐骨神経が何かによって圧迫・刺激されているのでなければ治療対象となります。実際、ほとんどの坐骨神経痛タイプの痛みにこの治療が有効です。
このように、一般的な病名でAKAによる治療が可能か否かを問われことが多いですが、一概にお答えすることができません。脊椎管狭窄症などもこれに該当します。
よく言われますのは、腰痛の80%程度は明かな原因が不明である、と考えられています。この明かな病変、つまり器質的な病変、がみられない腰痛は、AKA治療の対象になる、と言えます。従いまして、これらほとんどの腰痛がAKAの治療対象になると考えられます。

それでは、AKA治療から病態を考えてみます。例えば、器質的な原因がない慢性腰痛の例をあげますと、AKA治療では3種類の病型が考えられています。
1)仙腸関節機能異常:非常に強い痛みを訴えるが、通常治療後1週間で治癒・改善する。
2)単純性仙腸関節炎:慢性痛で治療により、2,3ヶ月で治癒、あるいは改善する。
3)仙腸関節炎特殊型:繰り返す難治性の痛みで、治癒・改善に6ヶ月以上を要する。
AKA治療は月1回の治療が基本です。原則的には最低でも2週間以上の間隔をあけることが推奨されています。また、2)や3)の場合、治療後2,3日痛みがやや増強したりすることがみられますが、その後より改善することが多いので、ご心配いりません。